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取締役会・監査役を廃止して取締役1名とするには〜株式会社における機関のスリム化について

希望に燃える役員

後継者問題や業績の不振などにより、会社の規模の縮小や、機関のスリム化を図る会社が増えてきています。

今回は、非公開会社において、取締役会・監査役を廃止して取締役1名とする手続きについて解説します。

目次

取締役と取締役会設置会社

株式会社においては、必ず1名以上の取締役を置かなければならず(会社法326条1項)、取締役会設置会社においては、取締役は3名以上置かなければなりません(会社法331条5項)。

監査役設置会社

株式会社において、必ず設置する機関は取締役と株主総会であり、監査役の設置は原則として任意ですが、取締役会設置会社では、監査役を置かなければなりません(会社法327条2項)。一方、監査役設置会社は必ずしも取締役会設置会社である必要はなく、取締役1名、監査役1名とすることもできます。

取締役会・監査役を廃止して取締役1名とする手続き

取締役会・監査役を廃止して取締役1名とする手続きは以下のとおり行います。

STEP
取締役会を廃止する

取締役会を廃止するには、定款の変更を伴うため、株主総会の特別決議が必要となります(会社法309条2項)。

また、これに伴い、定款に記載のある取締役の員数や、取締役会に関する条項を変更・削除する旨の決議をあわせて行います。

STEP
代表取締役の選定方法を変更する

取締役会の廃止に伴い、代表取締役の選定方法を「取締役会の決議」から「株主総会の決議」に変更する必要があります。

代表取締役の選定方法の変更は、定款の変更を伴うため、株主総会の特別決議が必要となります(会社法309条2項)。

STEP
取締役の退任

取締役1名を除く取締役は退任します。退任事由は通常「辞任」、または取締役の任期を短縮したうえでの任期満了による「退任」としますが、「解任」の場合は、株主総会の普通決議が必要となります(会社法339条1項、309条1項)。

STEP
監査役を廃止する

監査役を廃止するには、定款の変更を伴うため、株主総会の特別決議が必要となります(会社法309条2項)。

また、定款に記載のある監査役に関する条項を削除する旨の決議をあわせて行います。

監査役は、監査役が廃止されることにより退任します。

STEP
監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定めを廃止する

監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定めがある場合には、これを廃止する必要があります。

監査役を廃止しても、この定めは自動的に廃止されず、別途手続きをとらなければなりません。

この定めを廃止するには、定款の変更を伴うため、株主総会の特別決議が必要となります(会社法309条2項)。

STEP
株式の譲渡制限に関する規定を変更する

定款に「当会社の株式は、取締役会の承認がなければ譲渡することができない」旨の定めがある場合には、これを「株主総会の承認」「代表取締役の承認」などに変更する必要があります。

この規定を変更するには、定款の変更を伴うため、株主総会の特別決議が必要となります(会社法309条2項)。

STEP
登記申請を行う

変更日から2週間以内に変更の登記を申請しなければなりません(会社法915条1項)。この期間内の登記を怠った代表者等は、裁判所から100万円以下の過料に処せられる可能性があります(会社法976条1号)。

登記申請書の記載例(抜粋)

商号 株式会社○○

本店 東京都中央区日本橋室町◯丁目◯番◯号 

登記の事由 

 取締役会設置会社の定めの廃止
 監査役設置会社の定めの廃止
 監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めの廃止
 株式の譲渡制限に関する規定の変更
 取締役及び監査役の変更

登記すべき事項 別紙のとおり

登録免許税 金7万円 ※1

添付書類

 株主総会議事録 1通  

 株主の氏名又は名称・住所及び議決権数等を証する書面(株主リスト) 1通 

 (辞任届 1通)※2

 委任状 1通

別紙
「取締役会設置会社に関する事項」
「原因年月日」令和○年○月○日廃止
「監査役設置会社に関する事項」
「原因年月日」令和○年○月○日廃止
「役員に関する事項」
「資格」監査役の監査の範囲に関する事項
「役員に関するその他の事項」
監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある
「原因年月日」令和○年○月○日廃止
「株式の譲渡制限に関する規定」
当会社の株式は、株主総会の承認がなければ譲渡することができない
「原因年月日」令和○年○月○日変更
「役員に関する事項」
「資格」取締役
「氏名」○○○○
「原因年月日」令和○年○月○日辞任
「役員に関する事項」
「資格」取締役
「氏名」○○○○
「原因年月日」令和○年○月○日辞任
「役員に関する事項」
「資格」監査役
「氏名」○○○○
「原因年月日」令和○年○月○日退任 ※3

※1 資本金が1億円以下の会社における登録免許税は計7万円です。内訳は以下の通りです。

登記の事由登録免許税
取締役会設置会社の定めの廃止3万円
(登録免許税法別表第一24号㈠ワ)
監査役設置会社の定めの廃止
株式の譲渡制限に関する規定の変更
3万円
(登録免許税法別表第一24号㈠ツ)
取締役及び監査役の変更
監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めの廃止
1万円(資本金が1億円を超える会社は3万円)
(登録免許税法別表第一24号㈠カ)

   

※2 取締役の退任事由が「辞任」の場合には、辞任届を添付します。

※3 監査役の廃止による監査役の退任事由は「退任」となります。

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