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相続登記を行わないことについての「正当な理由」とは
相続登記を行わないことによる罰則規定の新設
2024年(令和6年)4月1日より、相続登記の申請が義務化され、一定期間内にこれを履行しない場合には10万円以下の過料に処せられるという罰則規定が新設されます。
一方、相続登記を行わないことについて「正当な理由」があれば過料に処せられることはない、とされています。
相続登記を行わないことについての「正当な理由」
この「正当な理由」として認められるのが、以下の5つのような事情が認められる場合となります。
①相続登記の義務にかかる相続について、相続人が極めて多数に上り、かつ、戸籍関係書類等の収集や他の相続人の把握等に多くの時間を要する場合
②相続登記の義務にかかる相続について、遺言の有効性や遺産の範囲等が相続人等の間で争われているために相続不動産の帰属主体が明らかにならない場合
③相続登記の義務を負う者自身に重病その他これに準ずる事情がある場合
④相続登記の義務を負う者が配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(平成13年法律第31号)第1条第2項に規定する被害者(DV被害者)その他これに準ずる者であり、その生命・心身に危害が及ぶおそれがある状態にあって避難を余儀なくされている場合
⑤相続登記の義務を負う者が経済的に困窮しているために、登記の申請を行うために要する費用を負担する能力がない場合
これらに該当しない場合においても、個別の事案における具体的な事情に応じ、登記をしないことについて理由があり、その理由に正当性が認められる場合には、「正当な理由」があると認められます。
現状において相続登記がされていないケースの中には、上記のような「正当な理由」が認められないものも少なくないと思われます。
相続登記をしないまま、新たな相続が発生することにより、相続関係がより複雑化し、将来的に円滑な相続が難しくなっていくことが想定されます。
過料を避ける目的ももちろんですが、未来を担う「子・孫の世代のため」にも、ぜひ相続登記を行いましょう。