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売買契約から10年経過の買戻特約は所有者が単独で抹消登記申請できるようになりました
買戻特約とは
買戻特約とは、不動産の売主が、買主が支払った代金及び契約の費用を返還して売買の契約を解除できる旨の特約をいい、売買契約と同時にする必要があります(民法579条)。
買戻しの期間は10年を超えることができず(民法580条1項)、また、売買契約と同時に買戻特約の登記をしたときに、第三者に対してその効力を生じます(民法581条1項)。
売買契約から10年経過している買戻特約の登記の単独抹消
2023年(令和5年)4月1日の不動産登記法改正により、売買契約から10年を経過している買戻特約の登記の抹消は、所有者(登記権利者)が単独で申請できるようになりました。
以前は、買戻権者と所有者との共同申請により抹消の登記を行っていましたが、法改正により買戻権者が交付する書類は不要となりました。
買戻特約は最長10年で権利が消滅するにもかかわらず(民法580条1項)、そのまま放置され抹消登記がされていないケースが多く、また10年を経過して権利が消滅していることは登記簿上明白であることから、所有者による単独申請を認め、抹消登記の促進を図る趣旨です。
買戻特約の登記を抹消しない場合には
買戻特約の登記の抹消を行わない場合には、
・物件売却時においてそのまま売買を行うことができない。
・相続が発生した場合には、相続人の負担で抹消登記を行うことになる。
などの影響があり、いずれは抹消登記の手続きが必要となります。
買戻特約の付された物件を購入して10年を経過しているなどお心当たりのある方は、お近くの司法書士までご相談ください。
(ご参考)
登記申請書の記載例(抜粋)
登記の目的 ◯番付記◯号買戻特約抹消※1
原因 不動産登記法第69条の2の規定による抹消※2
権利者(申請人)(住所)(氏名)※3
義務者 (住所)(氏名)※4
添付書類 委任状(司法書士など代理人に手続きを依頼する場合)※5
登録免許税 不動産1物件につき1,000円
※1 登記の目的に、登記簿上の甲区における買戻特約の順位番号を記載します。
※2 登記原因日付の記載は不要です。
※3 権利者(所有者)に相続が発生している場合には前提として相続登記が必要となります。
※4 義務者(買戻権者)に権利承継による住所・名称変更等があった場合でも変更登記は不要であり、登記簿上の住所・名称を記載します(代表者に関する記載は不要)。
※5 登記原因証明情報の添付は不要です。