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仮登記とは

仮登記とは
仮登記とは、不動産登記において、「将来的に行われる予定の本登記の順位をあらかじめ保全する予備的な登記手続き」、または「本登記を行うための法律上の要件が完全に整っていない場合に、暫定的に行われる予備的な登記手続き」をいい、不動産登記法105条に基づいてなされる登記です。
仮登記の効力
仮登記には第三者対抗力(民法177条)としての効力はなく、当該仮登記に基づく本登記の順位を保全するための効力があります。
たとえば、AからBに不動産を売買する旨の予約契約(売買予約契約)を締結し、これに基づいて所有権移転請求権仮登記をした場合(不動産登記法105条2号)には、その後にAからCに同一の不動産を売買する旨の所有権移転登記をしても、Bが当該仮登記に基づく本登記をした場合には、BはCに優先する(所有権を対抗する)ことができ、Cの所有権登記は登記官の職権により抹消されることになります。これを仮登記の「順位保全の効力」といいます。
仮登記の順位保全効について1号仮登記とは
不動産登記法3条各号に掲げる権利(所有権、地上権、永小作権、地役権、先取特権、質権、抵当権、賃借権、採石権)について、実体的な物権変動(保存・設定・移転等)があった場合において、当該登記申請をするために必要とされる次の①または②の情報を提供することができないときに申請できる仮登記を「1号仮登記」といいます(不動産登記法105条1号、不動産登記規則178条)。
①登記識別情報(または登記済証)を提供することができないとき。
②第三者の許可、同意もしくは承諾を証する情報を提供することができないとき。
○所有権移転の1号仮登記をした登記事項証明書記載例
1号仮登記をした例-12号仮登記とは
不動産登記法3条各号に掲げる権利(所有権、地上権、永小作権、地役権、先取特権、質権、抵当権、賃借権、採石権)について、実体的な物権変動(保存・設定・移転等)は生じていないが、次の①から③に掲げる物権変動に関する現在または将来の請求権が存在する場合について、申請できる仮登記を「2号仮登記」といいます(不動産登記法105条2号)。
①将来について物権変動を生じさせる請求権が発生しているとき(不動産登記法105条2号)。
②将来において物権変動を生じさせる請求権が始期付または停止条件付のとき、その他将来確定することが見込まれているものを含む(不動産登記法105条2号)。
③物権変動そのものが始期付または停止条件付のとき(昭37.1.6民甲3289号)。
○所有権移転請求権の2号仮登記をした登記事項証明書記載例
2号仮登記をした例-1仮登記の申請人
仮登記の申請は、不動産登記の原則通り、登記権利者と登記義務者が共同して申請するのが原則ですが(不動産登記法60条)、仮登記が予備的な登記であることから、仮登記権利者の単独申請が認められる場合があります。
1.仮登記の登記義務者の承諾があるとき
仮登記を申請することについて、仮登記の登記義務者の承諾がある場合には、仮登記の登記権利者が単独で仮登記の申請をすることができます(不動産登記法107条1号)。
この場合には、仮登記の登記義務者の承諾を証する情報(承諾書)を提供して仮登記の申請を行います。
仮登記の登記義務者の承諾を証する情報には、仮登記の登記義務者の印鑑証明書をあわせて提供する必要がありますが、この印鑑証明書については有効期限の定めはありません(不動産登記規則47条・49条)。
2.仮登記を命ずる処分があるとき
不動産登記法108条で定める「仮登記を命ずる処分」があるときは、仮登記の登記権利者は単独で仮登記の申請をすることができます(不動産登記法107条1号)。
3.判決等によるとき
登記の申請を共同でしなければならない者のうち、一方に登記手続きをすべきことを命ずる確定判決があった場合には、他方が単独で登記申請することができます(不動産登記法63条1号)。
