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法定相続分による相続登記後に相続人の一部が相続放棄した場合の所有権更正登記〜他の相続人が単独で申請できます

法定相続分による相続登記とは
法定相続分による相続登記とは、民法で定められた法定相続分(民法900条、901条)の通りに行われる相続による所有権移転登記をいい、相続人全員による申請のほか、相続人の一部からの申請によることもできます(民法252条5項、保存行為)。
また、相続財産の差押を目的として債権者が相続人に代位して申請する相続登記についても、法定相続分により行われます。
法定相続分による相続登記後に相続人の一部が相続放棄した場合の登記手続き
2023年(令和5年)3月31日以前は、法定相続分による相続登記後に相続人の一部が相続放棄をした場合には、他の相続人全員を登記権利者、相続放棄をした相続人を登記義務者とする共同申請により、所有権の持分移転登記を申請しなければなりませんでした。この登記手続きにおいては、相続放棄をした相続人の登記識別情報(登記済証)や印鑑証明書の添付のほか、委任状への実印による押印も必要であったため、なかなか登記手続きが進まないケースがありました。
2023年(令和5年)4月1日より、法定相続分による相続登記後に相続人の一部が相続放棄をした場合には、他の相続人の単独申請による所有権更正登記が認められ、登記手続きが簡略化されました(令和5年3月28日法務省民二第538号通達)。
なお、この所有権更正登記について登記上の利害関係を有する者(抵当権者、(仮)差押権利者など)がいる場合には、その者の承諾書(印鑑証明書付)が必要となります。
単独申請による所有権更正の登記申請書
法定相続分による相続登記後に相続人の一部が相続放棄をした場合における、他の相続人の単独申請による所有権更正の登記申請書の記載例は以下のとおりです。
相続人ABCの3名にて法定相続分(各3分の1)による相続登記後に相続人Cが相続放棄をしたケースにおける所有権更正の登記申請書の記載例です。
登記申請書の記載例(抜粋)
登記の目的 ◯番所有権更正 ※1
原 因 年月日相続放棄 ※2
更正後の事項 ※3
共有者 (住所)持分2分の1 A
(住所)持分2分の1 B
権 利 者 (住所)(申請人)A ※4
(住所)(申請人)B
義 務 者 (住所)C
添付情報 登記原因証明情報 ※5
( 承諾書 ※6)
委任状
登録免許税 金◯円 ※7
※1 登記の目的は、更正をする所有権登記の順位番号をもって「◯番所有権更正」とします。
※2 原因は、相続放棄の申述が受理された日をもって「年月日相続放棄」とします。
※3 更正後の事項は、相続放棄後の持分をもって共有者について記載します。
※4 登記権利者による単独申請によるため、氏名に「(申請人)」と冠記します。
※5 登記原因証明情報は、相続放棄申述受理証明書及び相続を証する公務員が職務上作成した情報(公務員が職務上作成した情報がない場合は、これに代わるべき情報)となります。
※6 所有権更正登記について登記上の利害関係を有する者(抵当権者、(仮)差押権利者など)がいる場合には、その者の承諾書(印鑑証明書付)を添付します。なお、承諾書に添付する印鑑証明書については有効期限の定めはありません。
※7 登録免許税は不動産1個につき1,000円です。