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被相続人の住所がつながらないときは~相続登記における添付書類について

家系図と家と家族
目次

被相続人の同一性は住所と氏名の一致により確認する

相続登記において、被相続人の同一性は、「最終の住所及び氏名」と「登記簿上の住所及び氏名」の一致により確認します。つまり、「住民票の除票(または戸籍の附票)上の住所及び氏名」と、「登記簿上の住所及び氏名」の一致によりその同一性を確認することになります。

したがって、相続登記において、「住民票の除票(または戸籍の附票)上の住所及び氏名」と、「登記簿上の住所及び氏名」が一致しない場合には、登記手続上は別人とみなされることになります。

被相続人の住所が一致しない場合にはその変遷を証する書面を添付する

相続登記において、被相続人の生前における転居等により「住民票の除票(または戸籍の附票)上の住所」と、「登記簿上の住所」が一致しない場合には、その変遷を証する書面を添付する必要があります。

この「住所の変遷を証する書面」には、「住民票の除票」や「戸籍の附票」「戸籍の附票の除票」が該当します。

被相続人の住所がつながらない場合には

一方、「住民票の除票」や「戸籍の附票の除票」が市区町村において既に廃棄されていて、被相続人の「最終の住所」と「登記簿上の住所」のつながりを裏付ける資料が揃わない場合、つまり住所がつながらない場合があります。

これは、2019年(令和元年)6月19日までは、住民票の除票及び戸籍の附票の除票の保存期間は「5年」と定められており、これ以前のものについては市区町村において既に廃棄されていることがあるためです。(2019年(令和元年)6月20日より、その保存期間は「150年」とされています。)

このようなケースにおいては、以下のステップを踏んで、「被相続人の同一性を証する書面」を揃えていきます。

STEP
被相続人の戸籍において登記簿上の住所と一致するものがないかを確認する

戸籍、除籍、改製原戸籍の謄本から、「被相続人の本籍地」の記載が「登記簿上の住所」と一致するものがないかを確認します。一致するものがある場合には、その戸籍、除籍、改製原戸籍の謄本をもって「被相続人の同一性を証する書面」とすることができます。

STEP
登記済証(登記識別情報)の有無を確認する

「被相続人の本籍地と登記簿上の住所が一致しない場合」には、登記済証(登記識別情報)の有無を確認します。登記済証または登記識別情報がある場合には、これをもって「被相続人の同一性を証する書面」とすることができます。登記済証(登記識別情報)は所有者のみがもっている書類であり、これを相続人が提出する場合には、相続登記を受理することを登記手続上認めるものです。

※登記済証(登記識別情報)を添付する場合には、原本還付手続きが必要となります。

STEP
不在籍・不在住証明書等の書類を揃えたうえで上申書を提出する

「被相続人の本籍地と登記簿上の住所が一致せず」、かつ、「被相続人の登記済証(登記識別情報)がない場合」には、以下①~⑥の書類をもって「被相続人の同一性を証する書面」とすることができます。

取得しうる限りの住民票の除票・戸籍の附票など住所の変遷を証する書面
住民票の除票・戸籍の附票の除票の廃棄証明書
固定資産税納税通知書または固定資産評価証明書
不在住証明書・不在籍証明書(登記簿上の住所において不在住・不在籍であることを証する書面)
上申書(相続人全員が実印で押印)
印鑑証明書(相続人全員)

※上申書には、管轄法務局宛に「登記簿上の所有者は間違いなく被相続人と同一である」旨を記載して相続人全員が実印を押印します。

※法務局によって取扱いが異なる場合もみられることから、上記①~⑥が揃わない場合には、事前に法務局に確認されることをおすすめします。

なお、令和5年12月18日に法務省より通知(「被相続人の同一性の証明に関する不動産登記事務の取扱いについて」)が出ており、以下がその要旨となります。

「被相続人の住民票の除票または戸籍の附票(以下、「住民票の写し等」という。)」及び「固定資産税納税証明書または固定資産評価証明書(以下、「納税証明書等」という。)」並びに「不在籍証明書及び不在住証明書」が提供された場合において、

  • 登記記録上の不動産の表示及び所有権登記名義人の氏名が納税証明書等に記載された不動産の表示及び納税義務者の氏名と一致し、
  • 納税通知書等に記載された納税義務者の住所及び氏名が住民票の写し等に記載された被相続人の住所及び氏名と一致し、
  • かつ、住民票の写し等に記載された被相続人の本籍及び氏名が被相続人の戸籍、除籍または改製原戸籍の謄本に記載された被相続人の本籍及び氏名と一致しているとき

は、「上申書」の提出はなくても相続登記ができる取扱いとする(令和5年12月18日法務省民二1619号)。

相続登記において住所がつながらない場合には、手続きが煩雑となるうえ、相応の時間を要します。

手続きに不安がある方や、売買を控えていて相続登記を急ぐ方などは、お近くの司法書士までご相談ください。

(参考)

○住民票の除票とは・・・転出や死亡などによって住民基本台帳から除かれた住民票のことです。

○戸籍の附票とは・・・本籍地において戸籍の原本と一緒に保存されている書類で、その戸籍が編製されたときから除籍するまでの住所の履歴を記録したものです。

○戸籍の附票の除票とは・・・本籍を他の市区町村に移したり、死亡などにより戸籍内のすべての方が消除された附票のことです。

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