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抵当権の抹消登記を放置してしまったときは~従前の代表者の委任状で抹消登記を申請できます

目次

住宅ローン等を完済すると金融機関から抵当権の抹消書類が交付されます

抵当権が設定されている住宅ローン等の借入れを完済した場合には、金融機関から「抵当権の抹消書類」が交付されます。

金融機関から交付される抵当権の抹消書類は、

解除証書、弁済証書などの登記原因証明情報
(抵当権設定の原契約書に「解除」「弁済」などの旨奥書されている場合もあり)

登記済証または登記識別情報

金融機関の抵当権抹消登記の委任状

となります。

抵当権の抹消登記は、この抵当権の抹消書類を添付して申請する必要があります。

委任状に記載された代表者がすでに退任してしまっているときは

金融機関の抵当権抹消登記の委任状に記載された代表者が、抵当権抹消登記の申請時においてすでに退任している場合において、その委任状は、抵当権抹消登記の添付書類として有効かという問題があります。

この点について、不動産登記法17条は、代理権の不消滅事由を規定しています(本条は、代理権の消滅について規定した民法111条及び委任の終了について規定した民法653条の特則となります)。

不動産登記法17条
(代理権の不消滅)

登記の申請をする者の委任による代理人の権限は、次に掲げる事由によっては、消滅しない。

  1. 本人の死亡
  2. 本人である法人の合併による消滅
  3. 本人である受託者の信託に関する任務の終了
  4. 法定代理人の死亡又はその代理権の消滅若しくは変更

不動産登記法17条4号の「法定代理人」には、法人の代表者も含まれると解されていることから(平成5年7月30日民三5320号通達)、「法人の代表者の代理権の消滅」によっては、「抵当権の抹消登記の申請についての代理権限は消滅しない」ことになります。

したがって、抵当権の抹消登記の委任状に記載された代表者がすでに退任してしまっている場合であっても、当該委任状を添付して抵当権の抹消登記が申請できることになります。

登記申請書の記載例

抵当権の抹消登記の委任状に記載された代表者がすでに退任してしまっている場合において、当該委任状を添付してする抵当権の抹消登記の申請書の記載例は以下の通りです。

登記申請書の記載例(抜粋)

登記義務者である金融機関の現在の代表者がA、委任状に記載された退任した代表者がBであるケース

登記の目的  抵当権抹消 

原   因  令和◯年○月○日解除

抹消すべき登記 平成○年○月○日受付第○○○号 ※1

権 利 者 (住所)(氏名)

義 務 者 東京都中央区◯◯一丁目◯番◯号
      株式会社◯◯銀行
      代表取締役 A  ※2
      会社法人等番号 ◯◯  ※3
      登記識別情報提供の有無 有り 

添付情報  登記原因証明情報
      登記識別情報(登記済証) 
      代理権限証明情報 ※4
      会社法人等番号

登録免許税 不動産1個につき1,000円

その他事項 登記義務者の代表者Bの代理権限は消滅している ※5

※1抹消すべき登記として、当初の抵当権設定登記の「受付年月日・受付番号」を記載します。これは抵当権移転登記ではなく「当初の抵当権設定登記」の「受付年月日・受付番号」にて特定します。登記の目的にて「○番抵当権抹消」と記載して抵当権を特定しても構いません。

※2登記義務者の表示としての金融機関の代表者は、現在の代表者Aを記載します

※3登記義務者である金融機関の会社法人等番号を記載します。

※4すでに退任した代表者Bの記載された委任状を添付します

※5「登記義務者の代表者Bの代理権限は消滅している」旨を記載します。従前は、退任した代表者の在任期間(就任年月日及び退任年月日)を併記することとされていましたが、登記義務者の会社法人等番号を提供することにより、在任期間を記載する必要はなくなりました(平成27年10月23日法務省民二第512号民事局長通達、登記研究828号74頁)。

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